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タグ: WTRPG

STG/I:第四十二話:捕食者

「・・・眩しい」

 

出たいと思った。

トンネルの先に光が見えた時。

ここは居心地が悪いわけじゃないけど、寧ろ居心地はいいんだけど。

出たいと思ったんだ。

どうしてか。

あの光の所に。

行けなければいけない。

「行きたい」

あの光の先に。

必死になって這いずって。

STG/I:第四十一話:胎動

(ココは・・・)

 

真っ暗なコックピット。

目の前には巨大な星。

星が大きすぎて真っ暗。

身体が動かない。

星の光が微かに内部を照らした。

首を少しだけ左へふる。

(なんで僕は濡れているんだ)

全身にナメクジが這いずったかのような後。

粘着性の何かで濡れているようだ。

身体が動かない。

ドキュメンタリーで見たことがある。

生まれたての子鹿。

STG/I:第四十話:ジェラス

俺はアメリカのゲームのエンディングというエンディングが大嫌いだった。

孤軍奮闘し、幾度もの絶体絶命の窮地を切り抜け、命からがらエンディングを迎えての悲劇的結末。何の解決にもなっていないという落ち。だったらこれまでの苦労はなんだったんだ。一人生き残った彼がどうしてこんな目に合わないといけないのか。

(俺は嫌だ)

絶対に、自己の何ものをも引き換えにしても絶対に。絶対にだ。俺はそういう人の気持ちを拾い上げたい。拾わないと。誰が見ていなくとも。誰の為でも無く。例え敵わなくとも、そういう馬鹿な人間がいたということが伝わればそれでいい。そうじゃないとイケナイ。そうじゃないと意味がない。人間である必要がない。

そんな主人公を救いたい。

誰か手を差し出さなくとも。

俺が。

絶対に。

何に引き換えてもでも。

STG/I:第三十九話:終わらない悪夢

半壊した日本の本拠点はもぬけの殻。

既に聞く者はほとんど居ないが、けたたましくマザーからの警告音声は鳴り響いた。

「緊急警報発令。

日本・本拠点所属のSTGによりデスロードが起動されました。

本拠点安全確保規定により移動を開始します。

総員移動に備えて下さい。

全隔壁をカウントダウン後に閉鎖。

露出ブロックは全て切り離されます。

STGの出撃および帰投は凍結。

安全の為、拠点内のプレイヤーはログアウトして下さい」

数少ない搭乗員の中に彼の姿。

”猫いらず”の隊長である。

「だから言ったんだ!だから言っただろ!だからだ!だから!だからーっ!」

顔を腫らし、横たわり、うわ言のように繰り返している。

その側にはもう誰もいない。

STG/I:第三十八話:デスロード

「ソード、デスロードを起動して」

「そのことなんだけど・・・」

「質問は受けない。起動して」

「デスロードの使用には確認事項が多いんだ。人によるけど、早い人で一分程度。遅い人で、恐らく数時間・・・」

「数時間?どういう意味!」

そんな時間は無い。

STG/I:第三十七話:爆発する宇宙

本拠点に張り付いたまま動かなくなったアメリカのSTGI。

爆発を続ける宇宙人。なおも拡大を続ける。

緊急事態は回避されたかに思えた。

彼らが思い出すのも無理もないことである。

「隊長・・・凄い言いづらいんですけど・・・」

STG/I:第三十六話:僥倖(ぎょうこう)

出撃前にドミノ作戦について竜頭巾は説明を受けた。

もっとも他の隊員はそれを知らないが。

「これで倒せるの?」

竜頭巾は素朴な疑問をリーダーに投げかける。

「無理だろうな」

リーダーは万が一にも士気を下げるようなことは言うつもりは無かったが、何故か口をついてしまう。

STG/I:第三十五話:一閃

レーダーに目標が近づいてくる。

それはとても巨大で月程度はある宇宙人。

ブリーフィングでリーダーが言っていたヤツだ。

ブラックナイトより遥かに巨大でSTG28が米粒のように見える。

「目標地点到達後、他は即座にログアウト!」

先刃の周囲は敵宇宙人で満たされている。

敵宇宙人軍、いや、宇宙そのものと言っていい、最早彼らは気にする様子が無い。

遠洋の高波のようにゆっくりと静かに動いていた。

STG/I:第三十四話:絶望と希望と

(速い!速すぎる!)

 

レーダーの倍率を変更し、辛うじてロックすることは出来た。

しかし近づくことは敵わず遠ざかる。

「ロック圏内から外れます」

「オートチェーサー!」

「了解」

オートチェイサーはロック以後の行動パターンから移動を推測するもの。

あくまで行動予測なので必ずしもそこにいるとは限らない。

最も可能性の高いルートを選択していく。

パートナーが自動で選択する場合と、登場者が選択することも出来る。

ルートはどれも、ほぼ、本拠点を指していた。

STG/I:第三十三話:孤立

日本・本拠点。

 

「部隊ブラックナイト、生存!」

 

悲鳴と歓声の入り交じる中、”猫いらず”の隊長、”舐めんじゃねぇネコ”は日本・本拠点でホログラムモニターを見ていた。

「なんてシツコイんだアイツら・・・(シネ・・・シネ・・・)」

その周辺には女性アバターの取り巻きを多数召し抱えている。

 

夜行色のゴムボールとなった彼らは作戦区域外に押し出されるほど流されていた。

 

彼らを襲った敵舌体群は総数の三割にも登る。

しかし攻撃が無駄とわかったのか、元の宙域へ戻っていった。

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