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タグ: 黄色いレインコート

黄色いレインコート麗子:あとがき

突然あの夢は始まりました。激しい雨の中で佇む自分。目線をふと上げると幼稚園。記憶の中でモデルになったかもしれない幼稚園は最近になり偶然通りがかり見つけました。そこも廃園になっていたのは何かの偶然でしょうか。
夢の中では門のところに小さな幼女が一人。彼女は黄色い雨合羽に黄色い長靴を履いて立っている。どこか寂しげで「どうしたんだろう」と気になりました。自分は夢の中で”営業の外回り中”という認識がどこかあったのですが、当時の私は営業職ではありませんでした。彼女が気になり暫し眺めています。そしてあの夢と全く同じ経緯を辿ります。余りにもリアルで奇妙でしたので自己分析を試み、夢と精神状態に関連する情報をしばらく集めてました。夢を見るタイミングが不思議で、体調、精神状態、仕事の状況とは全くリンクしてません。今でも「あれは何だったんだろう?」と思います。普段全く夢を見ない(見ても覚えていない)方なのですが、記憶力の悪い私が何故か今でも覚えている夢の一つです。今回、小説を書くに辺り「覚えているかな~?」と少し気掛かりでしたが、驚くほどスラスラと出てきました。

黄レ麗:エピローグ:これからの二人

先生はいきりな不機嫌になった。
「怖気づいたか」
「え・・・」
僕がミズキちゃんのことを言うまでは機嫌よさそうだったのに。
「それでも男か」
「あの・・・」
「キンタマついてるのかって聞いてるんだ!」
僕は縮み上がった。
先生の怒声に。
この不理解に。
先生がどうしてそんなに怒るのか。

ほんの僅か前。

黄レ麗:最終話:高校デビュー

「ありがとうございました」
全力で走り過ぎた。
調子こいた。
疲れた。
息が切れすぎてヤバイ。
もうそれなりに寒くなってきたというのに僕は身体も心もホカホカだった。
コンビニのレジ袋を眺める。
メロンパン二つにフルーツ牛乳といちご牛乳。
(レイさんは苺が好きな気がする)
予想より早めに着きそうだったのでコンビニに寄った。
一限目の休み時間でつまみ食いしよう。
(メロンパン・・・)
一つは僕の分、もう一つは彼女の。

コンビニでパンを物色した時、初めて彼女と喋った日を思い出した。

黄レ麗:第八十一話:再会、そして別れ

ここはどこだ?
見覚えがあるような景色。
なんだか懐かしい感覚が蘇る。
そう遠くないのに。
どうしてか思い出せない。
でも悪い感じはしない。
見ると自分は濃紺のスーツかジャケットのようなものを着ているようだ。
リクルートスーツなのかな?
そういえば来年は三年か。
どういう存在の設定なんだ。
(設定・・・ああ、これは夢だ)
僕には特殊な能力があって、これが夢であることの自覚が出来る。
ここ数年は慣れたもので、多少の誤差はあれど、割りと始まってすぐに気づく。最近は特に気づく速度が上がっているような気がする。
手には黒い傘。
一般的なジャンプ傘のようだ。
雨が降っている。
結構な降り。

黄レ麗:第八十話:本音

「いない・・か」
どこへ行っているんだろう。
こんな時間なのに。
(先生とどこか行ったんだろうか?なんか言ってたな)
陽はとうに落ち、辺りは暗くなっている。
雨は止むことなく、音もなく降っていた。

胸の辺りがモヤモヤする。

(まさか・・・)
何が「まさか」なんだ。
帰宅途中レイさんのアパートに寄ってみたがいない。
部屋は暗かったけど念のためにノックもした。
公園まで戻ると意識せず彼女と話し込んだベンチの前に居る自分。

黄レ麗:第七十九話:言霊

(不義理は出来ない・・・そうだ)
私は不義理をした。
一度や二度ではない。取り返しがつかないほど。
(手遅れ)
口に出してみて改めて感じる。
幼かったでは済まされない。
(豚の子は豚)
顔向け出来ない。
会いたい一方で会いたくない自分がいつもいる。
「どういう意味だい?」
「・・・もう恩人である彼を裏切ったからです」
「謝ればいいじゃないか」
先生は平然と言い放った。
まるで簡単なことのように。
「それで済む内容じゃありませんから」
「でも悪いと思っているのなら謝るしかないよね」
「そうかもしれませんが・・・許されることではありません」

黄レ麗:第七十八話:会話

正門を出た所、バス停に彼女はいた。
ベンチに腰を下ろし傘は立てかけている。
道向かい、やや上空を、見るとはなく眺めているよう。
物憂げな面差し。
内なる自分を見ている。
これほど美しい日本人も珍しい。
欧米化の食事による影響もあろうが彼女の場合は少し違うだろう。
血液的なものを感じる。
両親ではなく祖父母あたりに血が混じっているのではなかろうか。
食事はあまり摂れていないような痩せ方。
あの活力からすると本来ならかなりの大食漢であるはず。
身体は細いが芯は太い。
長身で柳のような様子がない。
今時の男でも無い太さ。

黄レ麗:第七十七話:麗子

夢のような一日だった。
自分で言うのもおかしいけど、私は一度コレと決めたら折れたことがない。
頑固だと思う。
それなのに先生に委ねた。
自分でもわからない。
どうして任せられたのか。
嫌じゃなかった。

今朝、玄関でマーさんと先生を見た時、目的は聞かずともわかった。
先生に告げられても自分の中に全く抵抗が無かった。
全く予想もしてなかった来客だだったのに、こうなることを自分が待ち望んでいたんだと知った。
とうの昔に諦めた夢。
何度も夢見た幻想。
いつかこの私の人生という牢獄から救いだしてくれる人がいて欲しいと、心のどこかで願っていた。
気が遠くなるほど待った。
裏切られた。
果てに得たレジ袋だらけの錆びた部屋と薄汚れた身体の自分。
もう二度と抱くことのない希望。
諦めていたつもりだった。
いえ、諦めるよりも重い。
冷めきったもの。
全てに対し。

黄レ麗:第七十六話:こころ

職員室を出る二人。
学校の先生方は祭りのあとのように三々五々に散っていく。
溜まっていた用事を思い出したのか、夢から覚め、急に現実に引き戻されたように、険しい顔を伴い急に慌ただしそうだ。
そんな様を僕はなんとなく見ていた。
先生に促されるまま僕は下駄箱まで二人を見送る。
(何があったのか聞きたい・・・でも・・・)
「じゃあ・・・先生」
「あー、悪かったね呼び出して」
「いえ」
「次の稽古は何時だっけ?」
「え?・・・何時もと同じですから明日です」
「そっか、明日か。明日は二人で来なよ」
先生はレイさんと僕を見た。
彼女は少し躊躇ったように見える。
「はい」
(この躊躇いは何を意味するんだ)
「わかりました」
先生は本当に彼女を弟子にしたいんだ。

黄レ麗:第七十五話:騎士

まるで僕の心境を表しているかのような雨。
この先を予見するかのように雨脚は強くなっている。
時折、季節外れの雷鳴も轟いた。
「雨は降るもんだよ。君の気持ちと関係なくね」
僕が彼女のことを知った頃だったと思う。
レイさんのことをそれとなく言った時、先生はどうしてそのように応じた。
どうして先生がそう言ったのは今でもわからないけど、ふと思い出した。
次はスズキの授業のはず。
ヤツの顔を見ればある程度の予測は出来るだろう。

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