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月別: 2016年5月

黄レ麗:第七十五話:騎士

まるで僕の心境を表しているかのような雨。
この先を予見するかのように雨脚は強くなっている。
時折、季節外れの雷鳴も轟いた。
「雨は降るもんだよ。君の気持ちと関係なくね」
僕が彼女のことを知った頃だったと思う。
レイさんのことをそれとなく言った時、先生はどうしてそのように応じた。
どうして先生がそう言ったのは今でもわからないけど、ふと思い出した。
次はスズキの授業のはず。
ヤツの顔を見ればある程度の予測は出来るだろう。

黄レ麗:第七十四話:生徒たち

マキが真っ先に僕の元に走って来た。
「今度は逃さねーぞ!」
僕の腕を強く掴む。容赦のない力。
彼は必死の形相で僕を見据えた。
(お前は僕に何を見ているんだ。どんな思いを感じている?)
ナガミネが駆け寄ろうとし机の足にぶつけたのか苦悶の表情を浮かべるも直ぐ気持ちを立て直しやってきた。それにヤス、ミツ、マイコちゃんも自然と集まる。それを目にし、胸の奥底から形容しがたい何かが込み上がり僕は思わず、
「みんな・・・ありがとう」
口をついた。
「どういう意味だよ!お前・・・ユウレイと心中でもする気じゃねーだろうな・・・」
僕の何を見てそう思ったんだ。
「マッキー落ち着いて」
マイコちゃんは声をひそめた。
「マーちゃん・・・」
ヤスが珍しく真剣になっている。
ナガミネは言葉にならないようだ。
眉を八の字にし目を潤ませ僕をただジッと見つめ、言葉にならない言葉を発している。
口火を切ったのはミツだった。
珍しく怖ず怖ずと尋ねる。
「色々と聞きたいんだけど・・・時間あるかな」
応える時間はない。
「いかなきゃ」

黄レ麗:第七十三話:先生たち

「上手いこと言うな!」
学年主任の憤りは書道専科のササクラ先生の思わぬ援護射撃に霧散する。
「ササクラ先生、驚かさないで下さい」
彼女は何時も通り体裁だけは繕ったが剣先の鋭い語気をはらんだ。
「すいません。彼の見事な一言に『してやられた!』と思ったものですから。身がしまる思いでした」
僕はなぜか書道は選択しなかった。
我ながら興味が無いんだろうと思う。
「重ねて生意気な口きいてすいませんでした」
オグラ先生は応えなかったが、代わりにササクラ先生が僕に問うた。
「お前の師匠はどこの会に属しているんだ?」
会?どういう意味だ。
「存じ上げません」

黄レ麗:第七十二話:理不尽

スズキを見た瞬間に抑えていた憤りがマグマのように湧き上がる。
真っ赤な血が全身を駆け巡り噴出口である僕の表情となって出る刹那、先生が口を開いた。

「よースーさん元気かい!久しぶりだね~」

職員室中に響く大きな声。
その声に行き場を失った憤りは一気に沈下した。
(本当に先生のお弟子さんだったのか・・・)
先生はまるで我が家のようにズカズカと中へ入っていく。
度胸が座っているのか無神経なのか。
こういう所は本当に羨ましい。
ところがスズキは険しい顔で眉をしかめている。
(やっぱり人違いなんじゃ・・・)
容赦のない不信感を全身に纏い先生に歩み寄った。

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