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黄色いレインコート麗子:あとがき

突然あの夢は始まりました。激しい雨の中で佇む自分。目線をふと上げると幼稚園。記憶の中でモデルになったかもしれない幼稚園は最近になり偶然通りがかり見つけました。そこも廃園になっていたのは何かの偶然でしょうか。
夢の中では門のところに小さな幼女が一人。彼女は黄色い雨合羽に黄色い長靴を履いて立っている。どこか寂しげで「どうしたんだろう」と気になりました。自分は夢の中で”営業の外回り中”という認識がどこかあったのですが、当時の私は営業職ではありませんでした。彼女が気になり暫し眺めています。そしてあの夢と全く同じ経緯を辿ります。余りにもリアルで奇妙でしたので自己分析を試み、夢と精神状態に関連する情報をしばらく集めてました。夢を見るタイミングが不思議で、体調、精神状態、仕事の状況とは全くリンクしてません。今でも「あれは何だったんだろう?」と思います。普段全く夢を見ない(見ても覚えていない)方なのですが、記憶力の悪い私が何故か今でも覚えている夢の一つです。今回、小説を書くに辺り「覚えているかな~?」と少し気掛かりでしたが、驚くほどスラスラと出てきました。

この物語を書くキッカケになったのは、このミイちゃんの夢でした。作中と異なるのはミイちゃんが雨傘をさしていない点のみ。連作のように何度も見るので不思議に思っていました。それを短編にまとめ「黄色い雨合羽」というタイトルで一度書きましたが、その後も頭の中で残り、どうしても解消されないシコリのようなものとしてあったのですが、この度ようやく実った次第です。

あの夢には後日談があります。母親に連れられ「サヨウナラ」を言った後、数年後に再び見ました。その頃にはこの夢のことはスッカリ忘れています。彼女は女子高生になっており、長い髪、黄色い雨傘をさし、再び現れました。長靴やレインコートはありません。普段とは違うであろう大人しめの服を来て緊張気味に立っています。彼女は主題の異なる夢に出てきて、すれ違いざまに目が合うと「お陰で大きくなれました」「最後にどうしてもお礼を言いたくて」「今とっても幸せです」「本当にありがとう」と私に声をかけ(心の中で)小さく手を振ります。それが最後でした。その時の私は何故か超人的なジャンプで建物から建物へ跳んでいる最中でして、何か得体のしれないものを追いかけています。(笑)その彼女の姿こそが立ち直った麗子のモチーフになっています。

今回の物語は複数の人から聞いた実話が元になっています。その多くの女性たちは非常に悲しい結末を迎えています。その時に「どうしてそんなことになってしまったんだ」と思う気持ちが強く「救いの手はないのか」と永くフラストレーションを溜めていたのがこの物語を書くもう一方の要因になっていたように思います。

当初は王道的な恋愛小説で彼女がハッピーエンドならそれがいいと思っていたのですが、登場人物の精神的背景が自分の中で追いつかないと書けない癖のようなものを自身の中に見つけ、途中からテンポが悪くてもいいから主題を自分なりに突き詰めていこうと開始数話で方向転換しました。
書く段階で大枠はどういう物語で最後にどうなるというのは概ね決めているのですが、一話ごとにプロットは書かずいきなり書きます。自分なりに「多分こうだろう」とか「こうなってくれると楽に書ける」という展開の推測はあるのですが、そこに固執すると書く側の想定の範囲内で面白くなく手が止まってしまう為ですが、登場人物が思ったように動いてくれず「なんでコクらないのかね君は?」とか「そこはウダウダしなくていいでしょ」とか「テンポよく」と自分で書いているのにツッコミを入れながら書いてました。

この調子だと物語と仲違いしてしまい崩壊すると考え、途中から子供を育てるように出来るだけ引いた目線で、彼ら、彼女らが動きやすいように、出来るだけ汲み取る努力をするようになっていき今の結果を迎えられた気がします。子供を育てるのと同じかもしれません。(笑)

結果として構想内のエンディングとは全く異なる最終回を迎えました。当初は修学旅行に行けなかったレイちゃんの為に彼らが修学旅行を企画し”仲良き事は美しき哉”といった風情で終えていくA案。王道で”クリスマスにマーちゃんが告白しレイちゃんがそれを受けハッピーエンド”のB案。途中から考えた、ナメちゃん、ミネちゃん、レイちゃんの三角関係の中でレイちゃん一歩リードで終わるC案でしたが、全然違うものになったのもこうした構えからかもしれません。

この物語は大雑把に高校二年生編と三年生編の二部構成で全百話程度をぼんやりと考えていたのですが、一部が伸びに伸び、書きたいことは書けたようにも思えたので高校二年生編のみで終了することにしました。三年生編では対立相手が親や大人、社会に移り変わっていきます。また一部では結果的に書くことのなかった大人マーさんの登場、ナメカワの反撃、彼女のスカウトが出てきます。これらは一部に盛り込むつもりでした。加えて、それぞれが将来の道に迷う等の事象が二部で描かれる予定でした。エピローグでチーちゃん先生が言った言葉は私自身の願いでもあります。二人がこれからも仲良く元気に人生を謳歌してくれればと願っております。

一年七ヶ月に及ぶ連載を終え、連載している人って凄いなと改めて実感した次第です。調子がいい時あり、悪い時あり、書ける時あり、書けない時あり、忙しい時ありで、定期的に書き続けることが如何に大変か僅かばかりでも体験出来たのはいい経験でした。派手でもなければ、分かりやすくもない、ウケル内容でないにも関わらず、幾ばくかでも定期的に読んで下さる方がいらしたのは大変心強かった。この場を借りて御礼申し上げます。読むというのは大変な脳力を消費します。貴重な時間をありがとうございました。何かしらでも心に残るものがありますれば冥利に尽きます。

二〇一六年七月二八日(木)
ジュゲ

Published in黄色いレインコート麗子

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